日本に学ぶ食の知恵「山を育て、野を耕し、海で貯える」 vol.
10
岸本家の料理会
〜沢渡お茶家の新しい一歩〜
以前このコラムでも紹介したことのある、高知県仁淀川の上流部に沢渡という限界集落の地で、沢渡のお茶を守り、作り続けている岸本さんから新たな取り組みに挑む声が届きました。それは「沢渡で美味しいお茶と食べ物を提供するカフェをしたい」のだと。
この沢渡に流れる仁淀川は、四万十川・吉野川と並ぶ四国三大河川の一つで、その水質は透明度が非常に高く、その神秘的な青の美しさは「仁淀ブルー」とも呼ばれ、平成24年度から3年続けて全国一級河川、水質ランキングで第一位に選ばれる(国土交通省発表)など今まさに注目を浴びている観光地です。この「仁淀ブルー」を見るために高知市内から車や観光バスで数時間かけて訪れる観光客は年々増えつつあり、自然が放つ美しさの魅力は今後も必ず人々を魅了し、日本だけではなく海外の観光客の取り込み需要をも間違いないでしょう。
そんな中「その観光客に、沢渡の美味しいお茶や沢渡で日々食べられてきた料理を提供し、沢渡を堪能してもらいたい」という思いから、岸本家の新しい挑戦が今まさにスタートしました。現在仁淀町でゆっくりと食事ができ、お茶を楽しめる飲食施設は10店舗も満たず、大人数の観光客を迎えることが出来る施設は本当に少ないのが現状です。そういった中で新たな飲食施設の取り組みは、仁淀町だけでなく高知県にも地元活性として当然ながら大きなメリットがあります。その取り組みの具体的内容を知ってもらうため、岸本さんは今回料理会を開くこととしたのです。
料理のコンセプトは「沢渡・お山ごはん」
食文化には共通根があり、高知は沖縄に似ています。 沖縄の「ぬちぐすい」(命の薬)にアイデアを借り、高知の命の薬を食で訴求することをコンセプトに掲げました。この「ぬちぐすい」という言葉は、沖縄料理・おばあの味 食は命の源、体の調子にあわせ食べて元気になる料理をあらわすもので、極めつきの美味しい長寿食、食材が限られていた時代に、地元の材料を無駄なく調理する知恵をも持ちます。この「ぬちぐすい」世界中から注目されている食文化であり、沖縄にも各国から視察・研究に訪れています、人が本当に健康に生きていくための食とはこれではないかと。この「ぬちぐすい」を高知スタイルで表現、岸本家のお母さんがおばあちゃんの味を受け継ぎ、今回頑張りました。
沢渡岸本家のカフェ事業取り組みは、来年もう一歩進むことが出来れば、具体的な事業へと進んでまいります。
この取り組みにも引き続き紹介していきたいと思っています。