勉強になる「今月の一軒」 vol.
07
THE UCC ORIENTAL
勉強になるテーマ
集まる時間から個人の時間へと、余暇価値が移り変わる「アジアの瞬間」を狙うカフェ、バンコクの中心地EKAMAIに初登場。
近代化が進む東南アジア。日本がかつてそうであったように、民主化とハイテクが怒涛のように民衆を活気へとかきたてます。元々外食大好きなこの地の住民は、インターネットという情報源を片手に、美味しい店、お得な店へと移ってゆきます。 ここ数年来、日本の外食企業は、こぞって東南アジアを目がけるようになってきました。その理由はいくつかありますが、決断する材料は「成功への道は、日本の発展に似ている」です。つまり、私達が歩んできた道のりを辿れば、その国がどれくらいの位置に(時代)にいるのかが分かるという寸法。事実、そういうところは見て取れるため、日本の料理店は成功しやすいという定説が成り立っているようです。
親日の国、タイ。首都バンコクは外食率80%以上という外食事業天国です。有名な屋台文化は当然人気ではありますが、衛生観念の向上はこの地にも波及しつつあり、徐々にしっかりとした店舗の中で食べ物を提供するようになってきました。 ここで考えておかねばならないのは、既述の「集まる時間と個人の時間」の違い。つまり、今、東南アジア全般に複数の人が集まって食事をする文化が主流であるとはいえ、日本がそうであったように、将来は核家族化が進み、個人の自由さを求めるようになるのは間違いありません。個人の自由さを求めるようになると、カフェの人気が高まります。一人の時間を愉しむ典型的外食がカフェ。携帯電話やパソコンといった個人のプライバシーを守るツールたちが確固としたステータスを持つ現代では、生活レベルの向上と共に個の時間へと歩み始めるでしょう。 また、ミャンマーが民主化へと大きく舵を切るため、内需が拡大。タイやマレーシア、シンガポールに出稼ぎしていた安い労働力が自国へと戻る日は遠くありません。そうなれば人件費は高騰し、徐々に難しい経営へと進まなければならないと考えています。
そういう様々な意味で、バンコクは時代が求めるニーズのターニングポイント。 この貴重な時期に、集いから個人への価値観の移行をエネルギーとしてthe UCC Orientalが2012年7月18日オープンしました。もちろん経営はUCCです。 サイフォン、水出し、エスプレッソ、ドリップという抽出方法を取り揃えた充実したコーヒーとともに、UCCの成長過程がうかがい知れる神戸伝統洋食ありと、異文化の地に日本でも進んだ充実のカフェスタイルを構築し、少人数でもグループでも楽しめるカフェを目指しています。 コーヒーという独特の飲物は近代化の象徴でもあり、今後の展開が楽しみな一店。 成長する東南アジア市場に於いて、一石を投じることは間違いないでしょう。
ドリンクのおすすめメニューは、珠玉の一杯「サイフォンコーヒー」。 フードは、神戸の職人顔負けの現地女性スタッフによる「オムライス」。 まるでここは神戸・旧居留地にあるネオクラシカル・カフェにでもいるような錯覚に陥るほどです。
バンコクに行かれたら、是非立寄ってみて、東南アジアに流れる新たなカフェ文化を感じてみてはいかがでしょうか?