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日本に学ぶ食の知恵「山を育て、野を耕し、海で貯える」 vol. 05
ちりめんじゃこから学ぶ無選別の意味

ちりめんじゃこをご存知だと思う。漢字で書くと縮緬雑魚。絹織物のちりめんのように見える小魚というから見た通り名前である。織物のちりめんは基本的に京都が産地であったため、この「ちりめんじゃこ」という呼び方は主に関西で使われている。関東では単純にしらす干し。ただ最近ではこの呼び方の境目が消えつつあり、概ね「ちりめんじゃこ」が一般通称になってきている。細かい目の網で捕獲した小魚を塩水で茹でてから乾燥させたものがちりめんじゃこであるが、干さずに茹でたままのもの、つまり「釜揚げしらす」は、ひときわ人気が高い。面白いのは、茹でたては「しらす」であり、干すとちりめんと名前を変えること。見た目が味にも影響する好例でもある。

このちりめんじゃこは、茹でてから、不必要(と思われるもの)とそうでないものを、通常選別する。のこされるものは、イワシやカマス、シロウオの類で他の物は取り去られる。
小エビ、イカ、太刀魚の稚魚がそれだが、もったいないという気持ちの生産者が増加し、最近では無選別が増えてきた。つまりゴミなどは取り除くが、魚類自体はそのままということだ。
では、選別されたものと、無選別とはどう違うのだろうとみてみるとこういうことが分かる。

●選別品は形もよくきれいで、高級感がある。
●無選別品は色がいろいろ入り、購入者にとって不一定感が強く残る。

袋に詰めて販売する場合に、無選別品とは商品価値というか、格は大きく違う。ところが、味を比べるとそうではない。エビやイカといった違う旨味が絡み合う無選別品は、見た目こそ悪いが、味は楽しい。無選別にはそれなりの価値があったのだ。
近頃、「ワケ有商品」が通販では売れる。店頭でも低価格スーパーでなくてもよく売れているが、理由は価格だけではない。味も嗅ぎ分けられている。こういう大きな市場があるのだから、無選別はさらに広がることは間違いないだろうが、一つ一つの魚たちの存在意義も伝えたいところだ。
心ある生産者さんがもっともっと増えて、等しく魚に力があることを広めてもらいたいものである。