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最注目「今月の逸品」  vol. 17
スリランカ(光り輝く島)へ 紅茶を巡る旅ー前編

日本の飲食店で美味しい紅茶を飲める店は本当に少ない。だからこそ本当に紅茶の好きな人達は自分好みの茶葉を購入して自宅で飲んでいるといいます。たとえそれが高級茶葉と呼ばれるものであったとしても1杯に必要な茶葉はたった2g。店でお金を払って美味しくない紅茶を飲むよりもずっとお得で、そして絶対に美味しい紅茶が味わえることをその人達は知っているのです。この話をしてくださったのは、無印良品のCafé&Meal MUJIの紅茶もブレンドされている(株)沖縄ティーファクトリーの内田さん。内田さんは、沖縄の赤土、風土、気候が紅茶を育てるのに最良の地であることを確信し、土地を改良し何年もかけて琉球紅茶を築きあげ、紅茶の美味しさを日本に広められている今や紅茶の世界を代表するティーブレンダーでありティーテイスターです。何年も前、幸運にも内田さんが作られたティーパンチ(紅茶と5種類の果物で作るアレンジティー)を飲む機会があり、頂いたときの味わいは今でも記憶に残る絶品の美味しさ。その内田さんに今回案内して頂いた紅茶の国、スリランカ。ここで作られる紅茶が何故世界中で愛され続けているのか、その理由を探しに茶葉が育てられるところからお客様の手に届くまでの道のりを今回辿ってまいりました。

 

美味しさの根幹

セイロンティーの主な産地の一つである島の中央部。中心都市であるコロンボから北へひたすら約6時間車を走らせ、山を登っていくと辺り一面緑色の茶畑が広がります。そして土はまさに赤土。訪れたのはマックウッド社の茶園。名産地と言われているヌワラエリヤ、ウヴァと同じハイグロウンティーの産地であり標高は1200m以上の地にあります。強い日差しはありながらも熱帯地方と思えないほどの肌にあたる空気の冷たさ。そして朝晩の寒暖差はこの山岳地ならでは。紅茶の木々はこの寒暖差から防御しようとすることで紅茶に必要なタンニンを葉の裏に蓄え、またアロマを生み出します。ただしそれだけではなく、鉄分の含まれた赤土の痩せた土地、強い日差し、様々な条件がうまく揃うことで香り高く旨味のある茶葉が育っていきます。

 

育て、見極める人

見る限り永遠に続く茶畑、300坪の土地に約2000本の木々が育てられています。ただしここで育つ木々を茶園の端から端まで全く同じ条件で育てることは出来ません。植わっている場所で光合成による栄養の入り方が異なり、土壌の条件も違ってきます。そこで摘み取るべき時期や場所を判断するのが、工場にいるティーテイスターの役目です。工場にいるティーテイスターは出来上がった茶葉をテイスティングし、仕上がり具合を確認し畑へフィードバックします。ティーテイスターからの指示をうけた工場マネージャーが摘み取りを指示し茶済みを行っていきます。また木々の管理ももちろん行い、何年かに一度は切り落とし新しい新芽をだし、良い木々にしていきます。そして樹齢が長くなるほど木々1本に茶葉の出来る量は減っていきますが、その分美味しさが濃縮され、美味しい茶葉が出来ます。ただしそんな中でも条件によって出来てしまう良くない茶葉の木々達は残さず、更に良い茶畑へと育てていくのです。

 

摘み取られた葉から紅茶へ

茶摘の人々によって摘み取られた葉は、工場でその日のうちに紅茶へと加工されます。ここではその行程を簡単に説明致します。

【1】PLUCKING(茶摘)茶摘みを行う人々は茶園に住み込み作業を行います。

【2】WITHERING(萎凋)茶摘した葉をそのまま揉むとバラバラになってしまうので、まず葉をくっつけながらしおらせます。

【3】ROLLUNG(揉捻)しおらせた葉を機械で揉み出します。揉み出すことで葉の細胞を壊しつつ、ここから発酵が始まっていきます。
この工場では1回あたり約200キロ。

【4】FERMENTATION(発酵)葉を更に発酵させていきます。ここで茶葉から紅茶へとかわっていきます。発酵のピークの手前でとめて出来上がるのが紅茶です。

【5】DRYING(乾燥)高温熱風約114度で20分乾燥させ酵素を殺し、発酵をとめます。

【6】SORTING(篩分け)茶葉を静電気でふるいわけ、茎や繊維を取り除きつつ、大きさをそろえます。摘み取られた葉100キロで約20キロの紅茶が出来上がります。つまり5倍の香りが茶葉に濃縮されることになります。

【7】TEA TASTING(味見)こちらの工場のティーテイスター、
ジャガディワランさんによる出来上がりのチェックです。

ここマックウッド社の紅茶は発酵が短時間でボディが軽いお茶を目指して作られています。視察の際に頂いた紅茶はシーズンがずれているので味の着地点がややいまいちだとか、紅茶の本当に美味しい旬は1年のうちたった2週間、このトップシーズンを見極め、工場は紅茶の摘み取りの指示を行い、ブレンダーはブレンドを行います。

さて先程述べたハイグロウンティーという言葉、これは標高1200m以上の茶園で作られる紅茶のことを指します。標高が600~1200mで育てられる紅茶をミディアムグロウンティー、600m以下の茶園での紅茶をロウグロウンティーと呼びます。ハイグロウンティーは、レベルの高い高級な紅茶とされていますが、決してミディアムグロウンティーらの紅茶の品質が悪いわけではありません。寒暖差のない茶園は一番安定した量を出荷することが出来、寒暖差のかわりとして木の影などなんらかのストレスを与える工夫をして香り高い紅茶を生み出しています。日本の沖縄はロウグラウンティーの茶園の標高ですが、沖縄の気候、海からのミネラル分、赤土の鉄分、作り手による土地改良によってハイグロウンティーにも劣ることのない素晴らしい紅茶が育てられています。

このようにして出来上がった紅茶は茶園ごと、また茶畑ごとでも味わい、香りが異なります。 この様々な種類の紅茶の情報がコロンボに集められ、オークションという形で求められる人々達のもとへ渡ってゆくのです。その続きは後半で。

 

スリランカ(光り輝く島)へ 紅茶を巡る旅ー後編はこちら